



リレーインタビューVol.1
お取引先様との持続可能な社会の共創に向けたコミュニケーションの重要性
登壇者

「wezero(ウィーゼロ)」を活用したお取引先様との脱炭素に向けた協働や人権に関する対話を進める。

より良い未来の創出に向け、「Think GREEN(環境)」「Think LOCAL(地域社会)」「Think SMILE(人びとの笑顔)」を軸にサステナビリティと企業活動の統合を目指す。
ご担当業務とその背景について
サステナビリティ戦略担当に配属になった経緯を教えてください。
池本:
学生時代に、平和研究を専攻し、人の豊かさをテーマとした研究をしてきました。
豊かさを考えたときに、物質的な豊かさだけでなく、心が充たされる精神的な豊かさが大事であることと、その精神的な豊かさが人や社会、自然環境とのつながりに深く関係していると思うようになりました。
そのような背景から、地球温暖化などの環境問題をはじめとするサステナビリティについて関心を強く持ち始めました。
学生の頃から環境問題に関心を持っていたのですね。
池本:
そうですね、サッカーが好きなのですが、地球温暖化の影響による平均気温の上昇のため外でサッカーをする環境が悪化していたり、試合観戦も異常気象によって中止になったりと、自分の趣味にも影響がでてきました。気候変動対策を中心にサステナビリティ領域にかかわる業務ができればと考えていました。2022年9月から現部門の配属になり、「環境」と「人権」をメインに担当しています。
サステナビリティに関する店舗施策やお取引先様との連携で重視していること
これまで取り組んできたサステナビリティ施策について教えてください。
池本:
大丸松坂屋百貨店では「Think GREEN」(地球環境再生と事業活動の両立)、「Think LOCAL」(店舗を構える地域の魅力発信)、「Think SMILE」(当社に関わるすべてのステークホルダーの人権尊重と笑顔輝く社会の構築)を軸としたサステナビリティ活動に各店舗で取り組んでいます。
サステナビリティ戦略担当では、3つのThinkを軸としたサステナビリティの推進と計画立案・進捗確認の2つを主に担当しています。
各店では、「CSV=ソーシャルグッドな事業活動」と称する環境・社会課題の解決と事業成長の両立を目指す取り組みが活発に展開されています。月一回のオンライン会議では、各店のサステナビリティ推進担当者から、各店舗が持つ強みと結びついたかたちで具現化されたオリジナリティ溢れるソーシャルグッドな事業活動が共有されています。CSV=ソーシャルグッドな事業活動の重要性を「自分ゴト化」として捉えていただいており、各店での企画数は年々増加傾向にあります。
例えば、博多大丸の「九州探検隊」では、九州の119市とアンバサダー認定を交わし、まだまだ広く知られていない魅力的な「ひと・もの・こと」を発掘して、広く紹介することによって九州全体の活性化を目指しています。どのソーシャルグッドな事業活動も独自性があり、外部へ広めていきたいと誇りに思えるものが多いです。

3つのThink
脱炭素社会の実現に向けた取り組みについてはいかがでしょうか。
池本:
当社グループでは、脱炭素社会の実現に向け、CO2排出量削減について、2030年度Scope1・2の60%削減(2017年度比)、Scope3の40%削減(2017年度比)、2050年度ネットゼロを目標としています(※)。Scope1・2の排出量削減は、館で使用する電力の再エネ化により順調に進んでいます。自社だけでの排出量削減が難しくサプライチェ―ン全体での協働削減が求められるScope3では、お取引先様1社1社に当社の脱炭素の取り組みをご説明したうえで、脱炭素目標の共有や設定、CO2排出量の算定をお願いしています。 お取引先様の中には、脱炭素に向けて取り組むことの重要性を認識しているが、知識や技術、あるいは担当が不在だったりと担い手が少なく人的リソースが課題であることも多く、1社1社への脱炭素の取り組みについて丁寧な説明やサポートの必要性も感じています。 (※)Scope 1:自社の事業活動における直接的な排出、Scope 2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用により発生する間接的な排出、Scope 3:Scope 1および2以外の事業活動に関わるサプライチェーン(他社)の排出。
サーキュラー・エコノミー(循環型経済の実現)についても最近の取り組みについてお聞かせください。
池本:
当社では、事業活動により発生する廃棄物を貴重な資源として有効活用していくサーキュラー・エコノミーの取り組みに重点を置いています。例えば、2023年9月に、使用済食用油を原料とする持続可能な航空燃料(SAF:Sustainable Aviation Fuel)の国内初となる大規模生産を目指した「Fry to Fly Project」に参画しました。2024年8月現在、大丸・松坂屋の7店舗から発生する使用済食用油(全店舗の総排出量のうち約47%)を国産SAF製造の原料として提供しています。
また、直近では「混ぜればごみ、分ければ資源」を合言葉に、館内での正しいごみ分別の徹底に向けて各店と連携して取り組んでいます。可燃ごみに捨てられている紙ごみのうちリサイクルが可能なものが「紙資源」として正しく分別をされることで再資源化されます。実際、ある店舗の可燃ごみの中身を調査すると、全体の約6割がリサイクル可能な紙ごみなのに、可燃ごみに混入していました。現在は「紙ごみリサイクル向上マニュアル」を制作し、分かりやすいごみ集積場への改修や館内従業員への正しい分別ルールの周知を通して、貴重な紙資源を循環させ廃棄物の最終処分量を削減することがミッションの一つです。

使用済食用油で航空機が飛ぶ世界を目指す「Fry to Fly Project」

「混ぜればごみ、分ければ資源」を合言葉にごみ置場を改修
サステナビリティ推進に当たって今後の課題や目標について

自社のみならずお取引先様の抱える課題感や、今後実現していきたいことなど教えてください。
池本:
当社からお取引先様に脱炭素や人権尊重に関する内容のアンケート回答のご依頼をしているのですが、お取引先様からも当社に環境や人権尊重に関する内容のヒアリングが届くことが多くなっています。共通の目標である持続可能な社会の実現に向け、企業同士で協働し合い、取り組みを推進することは大変重要です。一方で、お取引先様宛に複数の企業からアンケートやヒアリングの回答依頼が届くことが多くなれば、お取引先様の負担が増えることも想定されます。サステナビリティに特化した企業間コミュニケーションツールである「wezero」を活用することで、お取引先様や当社の業務負担が軽減されることに期待しています。

大丸松坂屋百貨店様の先進的な取り組みを「wezero」を通じてお取引先様に継続的に情報発信できることも、さらなる企業間連携につながるかと考えます。「wezero」の活用方法について、今後もご紹介してまいります。取材ご協力ありがとうございました。
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