パルコデジタルマーケティングが担当者にきいてみた!

SC VOICE

2023.06.28

インタビュー

これまでの商業施設とは一線を画す

共創型ECサイト 「ONLINE PARCO」について

これまでの商業施設とは

一線を画す

共創型ECサイト

「ONLINE PARCO」について

株式会社パルコ

櫻井 様、在田 様、宇田川 様

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2023年春(※)、PARCOの公式オンラインストアがリニューアルオープンし、共創型ECサイト「ONLINE PARCO」へと進化しました。”共創型EC”って何…?そもそもの背景や狙いは…?どんな壁を乗り越えてオープンしたのか…?大規模プロジェクトを伴走したパルコデジタルマーケティングの担当者も交えて振り返りインタビューをさせていただきました!

※一部ショップは2022年11月よりオープンしています。

プロフィール1

株式会社パルコ
CRM推進部
業務課長
櫻井 愛 様

2006年 株式会社パルコ入社。吉祥寺、名古屋、渋谷店営業課を経て、本部宣伝部ではプロモーション全般、CRM推進部ではアプリリニューアルやオンラインストア業務に従事。今回のECリニューアルではサービス部門として利用されるお客様、ショップスタッフ、館の営業スタッフ観点での要件まとめや、旧ECからのショップ移転にともなう契約管理、各担当への操作説明会、マニュアル整備を担当。


プロフィール2

株式会社パルコ
デジタル推進部
業務部長
在田 正弘 様

2018年 株式会社パルコ入社。パルコのお客様向けWebサービス(EC、スマホアプリ、CMS、渋谷店OMO売場)開発などを担当。2020年から開始したONLINE PARCOプロジェクトでは、関連する複数プロジェクトを含めた統括プロジェクトマネージャを担当


プロフィール3

株式会社パルコ
デジタル推進部
ECユニットサブリーダー
宇田川 裕司 様

2021年 株式会社パルコ入社。入社後はパルコのお客様向けWebサービス・アプリのシステム開発のユニットに所属。2020年から開始したONLINE PARCOプロジェクトでは、PARCO独自のシステム要件を実現するためのカスタマイズ機能開発を担当。


プロフィール4

株式会社パルコデジタルマーケティング
事業推進部
シニアコンサルタント

POCKET PARCOアプリ開発をはじめ、PARCO各店舗や本社部門サイト、エンタメサイトなどパルコが運用するWebサイトや店頭ICT開発に従事。「ONLINE PARCO」プロジェクトでは、主にフロント開発のPMO(Project Management Office)を担当。


プロフィール5

【ONLINE PARCO】

ホームページ https://online.parco.jp/

リニューアル背景_

──改めての振り返りの会ということで、よろしくお願いします!早速ですが、リニューアルのきっかけからお伺いしたいと思います。従来のPARCO ONLINE STOREでの課題など、何かきっかけがおありだったのでしょうか?
CRM推進部 櫻井様(以下、櫻井):

PARCO ONLINE STORE(リニューアル前ECサイト)は「24時間パルコ」がコンセプトでして、お店で接客する延長線上としてオンラインで商品を販売する、という役割を担っていました。でも、新型コロナウィルス感染症拡大の影響で店舗が一時休業や時短営業となったこともあり、オンラインストアも「店舗接客の補完」としてだけではなく、EC単体で十分な売上が立つものとして成長させる必要があると考えるようになりました。コロナを機に、ファッション業界でもECでのお買い物が更に浸透していきましたし、多くのテナントさんがEC経由での情報発信にも力を入れるなど、店舗からECに舵を切る動きが加速しており…という背景がありました。
デジタル推進部 在田様(以下、在田):

一方でPARCO ONLINE STOREは、ECに舵を切るための十分な機能と性能を備えきれてはいませんでした。「ダウンロード販売をしたい」など、店舗やテナントさんから様々なご要望をいただいても、その機能を追加するためには都度スクラッチ開発をしなければならない状況のため実現が難しく、テナントさんの販売計画を機能面でサポートできずにおりました。

また、性能面にも大きな課題がありました。限定商品の販売など、アクセスの急増や注文集中が予想される時には、その都度、事前に販売計画のヒアリングとインフラ増強が必要なんですが、ここに非常に大きな労力がかかっていました。
アクセス数や注文数の正確な予想はとても難しいため、オーバースペックになることもありましたし、予期せぬアクセス増や注文集中によりサーバダウンとなることもありました。なので、アクセス数の監視にも大きな労力を割かれていましたね。
「このままではインフラが今後の成長戦略を推進するうえでの障害になる」と、インフラの仕組みを抜本的に見直す必要性を感じていたんです。

このような経緯から、リニューアルプロジェクトが発足し、旧ECの運用と開発を担当していたCRM推進部とデジタル推進部の担当を中心に進めることになったのです。

苦労した点、重視した点_

──部門横断の大規模プロジェクトですが、進行上ご苦労された点や、こだわったポイントはございますか?
在田:
当社に限った話ではないと思いますが、システム開発プロジェクトでは、営業・運用部門とシステム部門での意見が対立しがちですよね。営業・運用部門はできるだけ多くの機能や要望を叶えて売上増や労力削減につなげたいので「要件拡大」となる一方で、システム部門は決まったスケジュールとコスト内におさめたいので「要件収束」を第一にする。これは当然のことだと思いますし、実際このプロジェクトでも多くの意見対立が発生したんですけれども、我々はプロジェクト発足時からこの問題は確実に発生すると考え、3つのシステム構築方針を定めていました。
1つ目は、「ECシステム標準パッケージ・ファースト」です。
商品検索やカートなど、ECには様々な機能が必要ですが、ECパッケージの標準として備わっている機能があるのであれば、それをなるべく使う。そのかわり、PARCOの会員サービス「PARCOメンバーズ」や「PARCOポイント」「ポケパル払い」など、当社独自システムとの連携や、共創型モールECとして我々が目指す姿のために必要な要件に集中して投資することにしました。

2つ目は、「スモールスタート」です。
「せっかく作ったのに運用してみたら合わなかった」などのロスを最小化するため、事業規模に合わせて、段階的な拡張ができることを重視しました。

3つ目は、「システム導入後のサービス実現、運用重視」です。
これは2つ目とも連動しますが、初期のシステム開発を目的とするのではなく、システムリリース後のサービス運用の体制や新たなニーズに対して、リーズナブルに追加開発ができる、柔軟性と拡張性の高いシステムにしました。
──「共創型EC」としてのこだわりは、どの辺りにあったのでしょうか。そもそも「共創型EC」って…?と思われる方も多いかもしれません。
宇田川様(以下、宇田川):

通常のECは "B to C"か "B to B"のどちらかだと思いますが、PARCOのECは" B to B to C "という少し特殊な形態なんです。本社のEC部門が各ショップの商品をセレクトして販売するかたちではなく、各PARCO店舗に出店いただいているテナント企業様が(リアル店舗とは別に)ONLINE PARCOに出店するという、モール型ECとなります。

そのため、エンドユーザーであるお客さまにとって魅力的で便利なサービスを提供できるECシステムであることに加えて、より多くのテナント企業様にONLINE PARCOに出店・出品していただくという部分も、重要な要素となります。
──なるほど。より多く出店・出品していただくためにも工夫が必要そうですね。
宇田川:
ECへの出品や出荷作業は、ショップスタッフの皆さんが、リアル店舗で接客するかたわらで担っていただいているケースが多いです。そのため、誰でもすぐ理解できて簡単に操作ができるシステムが理想的なのですが、今回採用したECパッケージは多機能な反面、操作手順が複雑なケースもありまして。いかに分かりやすくできるか、いかに自動化・簡略化できるか、という点では気を配っています。

また、「モール型EC」をつくるのも大変でした。ECのパッケージシステムを利用されている企業は数多くいらっしゃると思いますが、それらのパッケージを使った「モール型EC」は、実はほとんど事例がなかったのです。そのため、ベンダーさんに「モール型ECとは?」という概念からご理解いただく必要がありましたし、要件定義や設計の手前の工程として、我々がまず(候補としていたECパッケージの)システム検証や仕様把握を行うのに非常に苦労しました。
──様々な苦労がおありだったプロジェクトですが、当社の役割についてもお聞かせいただけますか?
パルコデジタルマーケティング小池(以下、PDM小池):

2年がかりのプロジェクトの中で、プロジェクトマネジメントオフィスを担当させていただきました。具体的には、パルコ各部門からの要望を要件に落とし込み、各協力会社へ依頼をしたり。社内外含めたスケジュール&タスク管理も行っていました。
宇田川:
社内外のスケジュール調整とタスク管理、非常に助かりましたよ。

今回のプロジェクトは、ECシステム本体のリプレイスに加えて、「PARCOメンバーズ」という会員基盤の再構築や、「PARCO POINT」というポイントシステム全般のリニューアル、各システムとの連携、連携システム間のSSOの導入等、当社としても今まで実施したことのない規模感での大規模リニューアルでした。
ですので、各システムを連携させるための協議の場も多く、スケジュール調整ひとつをとっても難易度の高いプロジェクトだったと思います。社内外含めて、それぞれが担当領域優先で希望をだしてくる中で取りまとめなければいけない為、本当にご苦労されたと思います…!
小池:
協議は本当に多かったですね。パルコ様社内でもサービス、システム、フロント、経理と全体報告。協力会社様もシステム、デザイン、会員管理、ポイント…と別々だったので、それぞれと毎週会議を重ねると結構な数でした(笑)。
宇田川:
小池さんが中立的な立場や視点で、他社事例も示しつつ調整してくれた部分は、本当に助かりました。我々がシステム構築やサービス構想の中身の検討に集中できたのは、こういった調整を全てお任せできた事が大きいと思います。正直、我々だけではフロントまで見きれませんでしたし…。また、ベンダー各社さんとのやり取りにおいては専門性の高い情報が多く、時に咀嚼が難しい場面もあるのですが、パルコデジタルマーケティングさんが間に立って我々が理解できるレベルまで情報を整理してご説明くださったおかげで、認識齟齬がなくスムーズにプロジェクトを推進できたと感じます。

リニューアルの結果と効果_

──リニューアルの結果や効果についてもお伺いしていきたいと思います。新機能にはどのようなものがありますか?
櫻井:
お客さま向けでは、PARCO公式スマホアプリ等と共通の会員IDで「ONLINE PARCO」もご利用いただけるようになりました。また、PARCOのQRコード決済「ポケパル払い」やPARCO POINTにも対応しています。来場者限定販売など、ご来店いただいた方だけが使える機能もありますので、店頭とオンラインとの行き来がより生まれることを期待しています。

越境ECや多言語翻訳の機能もありますので、来日された際にご来館してお買い求めいただいた海外のお客さまに、帰国後に追加購入といった使い方もしていただけるようになりました。
テナント向けでは、ブランド各社様にあわせたデザインに柔軟に対応できるようになったほか、予約販売、シークレット販売、抽選販売、セット販売など、ニーズがありつつも対応できていなかった機能をご提供できるようになりました。受注時、次に何をしなければいけないかを管理画面でわかりやすく案内する「業務アシスト機能」などもあり、オペレーションミスが発生しないような工夫も盛り込んでいます。
──反響はいかがでしょうか?
櫻井:
リニューアルを機にECにも興味をもっていただくショップが増えたことで、出店ショップの増加につながっていると感じています。ECというと店舗 vs オンラインと勘違いされがちですが、ショップさんとのやり取りの中で、「ONLINE PARCO」での受注が店長さんやスタッフさんの売上になるんだという理解が進んできました。スタッフの考え方が変わることで、お客さまの「買い方」も変わっていくのではないかと思います。
在田:
リニューアル後の「ONLINE PARCO」は、サイト停止を伴うような大規模なトラブルは発生していませんので、お客さまやテナント様に安心してご利用いただける環境が整っていると考えています。急なアクセス増に対しても、都度のインフラ増強なしで対応できるようになったため、インフラコスト抑制が実現できています。
また、今回は経理精算の自動化にも力を入れたので、担当者の労力削減につながっていると実感していますし、店舗・テナント様むけの管理画面も便利になったと評判は上々です。
宇田川:
我々の部門は直接反響の声をいただく事は少ないのですが、販売開始直後にアクセスが集中するような人気企画でも、安定稼働のまま購買完了できているオーダー状況を目にする度に、出店テナントのみなさまが安心してご出店いただける環境が整った事が、非常に大きい成果だと感じています。

今後の展望_

──さいごに、今後の展望や、当社に期待することを教えていただけますか?
在田:
今回のリニューアルで基本的なEC機能の提供まではできましたが、今後も更なる売上増、出店テナント増にむけ進化を進めてまいります。来春までにPARCO独自のコンテンツ発信や、共創空間の環境構築を計画しています。
櫻井:
パルコならではの価値をご提供することによって、わざわざオンラインで売りたい・買いたいと思っていただけるような楽しいオンライン空間をつくっていけたらと考えております。
宇田川:
パルコデジタルマーケティングさんはPARCO以外の商業施設や小売への支援経験も豊富なことが強みだと思いますので、今後も他社事例や業界トレンド等の情報も共有いただきながら「ONLINE PARCO」の更なる進化をサポートいただけると助かります。引きつづき、よろしくお願いいたします。
──こちらこそ、よろしくお願いいたします!本日はありがとうございました。
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