パルコデジタルマーケティングが担当者にきいてみた!

SC VOICE

2020.1.20

インタビュー

唯一無二の“次世代型商業施設”

新生「渋谷PARCO」の環境構築と、

デジタル活用について

唯一無二の“次世代型商業施設”

新生「渋谷PARCO」の

環境構築と、

デジタル活用について

株式会社 パルコ

デザイン部

加園様 羽田様

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唯一無二の“次世代型商業施設”新生「渋谷PARCO」の環境構築について、株式会社パルコ デザイン部のご担当者様に、開業前の計画から施工。施設デザインのポイントや、デジタルテクノロジーの活用について取材いたしました。

プロフィール1

株式会社 パルコ
デザイン部 業務課長
加園様

PARCO既存店・新店の内装、多くのテナント改装を担当。2016年の社内公募により渋谷PARCOのプロジェクトに参加。2018年より渋谷店準備室に配属、2019年7月よりデザイン部に戻り現在に至る。

プロフィール2

株式会社 パルコ
デザイン部
羽田様

仙台PARCO2や、津田沼PARCOの食品フロア改装、池袋PARCOのビューティゾーンの改装などを担当。社内公募により渋谷PARCOのプロジェクトに参加。2016年より、デザイン部として、渋谷PARCOを担当。

プロフィール3

株式会社パルコデジタルマーケティング
ストアデジタル部 プロデューサー
藤井 一博

商業施設や専門店へのデジタルサイネージ・Wi-Fi等のICTやテクノロジーの導入を担当。渋谷パルコのストアデジタルソリューション導入にあたりプランニング・ディレクション・コンテンツ制作を行う。

Q1.渋谷パルコでの担当業務についてお聞かせください。

羽田様(以下、羽田)

渋谷PARCOについては、動線や区画割などの平面計画からかかわり、内装の基礎プラン、デジタルサイネージを含むサイン計画や、化粧室を主に、計画から現場施工、予算管理を担当しました。
加園様(以下、加園)

渋谷PARCOについては、会社の初めての試みでもあった社内公募により、本プロジェクトに参加しました。最初は、兼任メンバーとして業務を担当していましたが、2017年より、渋谷プロジェクトの担当として専属になりました。新店準備室はこれまで、リーシングの担当スタッフが中心でしたが、デザイン業務を準備室内で担当することで、これまで以上に、イコールパートナーである出店テナントとの距離が近くなり、新たな視点が広がりました。
―ストアデザインに関する新たな視点や、テナントとのやりとりについて詳しくお聞かせください。
加園
館内の内装や共用部についても、良いものの物差しが変わりました。素材や、よりカッコイイデザインを求めることも大事ですが、テナントが如何にして際立つかということへの意識が高まりました。これまで、どこに注力すべきか判断する際、サインや化粧室といった共用部の環境か、テナントの魅力を高める環境か。その優先順位の整理があいまいだったのですが、渋谷PARCOについては、リーシングの交渉時から、力を入れてくれるテナントの内装デザインを優先する環境プランを提案するなど、判断の物差しが広がったかと思います。
またマーチャンダイジングの計画や、リーシングから関わっているので、これまで以上に、施設に関する思い入れも、強いものになりました。

Q2. ストアデザインとしても、マーチャンダイジングやリーシングから関わっていることが、テナントの売上好調にもつながっているかと思います。そんな渋谷PARCOの環境デザインについて、重要視したことをお聞かせください。

羽田
渋谷PARCO館内の環境デザインに関しては、個性豊かなテナントを際立てるため、一歩引くデザイン、そぎ落とすデザインを意識しました。サインはシンプルにどんな環境でも相性がよく見やすいデザインとして、白と黒のバイカラーで制作しています。また、これまで用いなかった明朝体のフォントを採用し、サイン用のピクトも明朝体フォントの特徴である「繊細な線の強弱」や「とめ・はね」のデザインに合わせて作成しています。そうすることで、新生渋谷PARCOの新しさや洗練された印象を表現できるよう努めました。
また一方で、来館されるお客様が、様々な体験をすることが館のテーマでもあります。例えば化粧室について、2階フロアは、“おしゃれをして入りたくなるような”トイレを目指し、お客様の気分が上がるよう、ランウェイや女優ミラーを用意しています。どのフロアの化粧室も同じにするのではなく、フロアによって異なるデザインで制作しました。
加園
地下1階のカオスキッチンのように、特色あるテナントを受けいれる舞台として、環境が主張してしまうとフロアの空間が破綻してしまいます。そのため、極力シンプルだけど上質なものを目指しました。例えば、合成樹脂で表現できるものも、木材やモルタルを使うことで本物の素材にこだわりました。
一方で、パルコの特色として常に館の新陳代謝を重要としており、改装によって導線も変わっていくので、フレキシビリティをもって設計しています。

Q3. そぎ落とすデザイン、だけど本物の素材を使うなど、こだわりがうかがえます。それを実現するための準備・計画する中で、良かったこと・苦労したことを お聞かせください。

羽田
新しいことを何でも提案できることが、渋谷PARCOだからこそできたことだと感じています。その中で、新しいことを企画・提案するために、社内・社外含めて、本当に多くの方と、意見交換できたことが、非常に貴重な経験になりました。また、多くの方が関わっているので、その分調整に苦労したことも多々ありました(苦笑)。その中で、自分が考え抜いて、「良いと思う案」を実現するために日々奮闘しました。
加園
マーケットクリエイションを目指していたので、これからのカルチャーが生まれてくるきっかけを創りだせるように進めてきました。そのため、とにかく、多くのことを、勉強したり、調べたりする必要がありました。ミックスバーの導入も、新宿2丁目に、お昼から交渉に行きながら(笑)考えうる様々な可能性を、検証・確認を行い、出店いただきました。
今回のプロジェクトを通して、様々な業界・業種、国籍の違う本当に多くの方に出会うことができました。渋谷PARCOのビルターゲットであるノンエイジ・ジェンダーレス・コスモポリタンを計画の段階から実行してきました。

Q4.まさにダイバーシティですね。新しいことを生み出すという点で、デジタルの活用面ではいかがでしたでしょうか。

加園
特にたいへんだったのは、やはり5階の「PARCO CUBE」の構築でした。オムニチャネルを実現する売り場なのか、ショールーミングストアなのか、テナントへの送客を収益化すべきなのか。様々な方向性を検討し、多くの議論を重ねました。
2017年より担当になり、まだOMO(Online Merges with Offlin)というキーワードもない時から、様々な企業と出会い、情報を集めました。そして「PARCO CUBE」へ出店いただく企業にとってのハードルや、館が提供する付加価値を考えて、今回のカタチに行きつきました。
―多くの調整事項や、まったく新しいことを実現することができた理由は、何だったのでしょうか。
加園
一つは、計画が何度も変わる中で、パルコデジタルマーケティングのように、それに付き合ってくれるパートナーと信頼感の強さかと思います。例えば、一般的に、ショッピングセンターは、区画・ゾーニングありきで、リーシングを進めますが、パルコの場合、前もって地型を決め込まず、テナントとの協議に合わせて、より魅力的な施設となるように、変えていきます。そういった常に状況が変化する中で、各種調整・対応してくれるパートナー企業がいるから、今回の渋谷PARCOが実現できたのだと思います。

Q5、新しい売り場である「PARCO CUBE」の他に、サイン計画におけるデジタルサイネージの役割についてもお聞かせください。

加園
パルコでは、福岡PARCO新館から、PARCO_ya上野、仙台PARCO2まで、ポスターボードのデジタル化から始まり、フロアサインもデジタルサイネージを導入してきました。
渋谷PARCOも計画当初に、デジタルサイネージを検討したとき、フロアサインもデジタル化すると優に百台超える想定になりました。そうした場合、費用対効果を考え、今回は、ポスターボードとレストラン案内サインに絞る判断をしました。
渋谷PARCOのもつ豊富なコンテンツを訴求する上で、1拠点で多くの情報を提供できること、音と動きのある動画で訴求できることが、デジタルサイネージのメリットだと思います。
営業時間で、業態が変わるお店もあるので、時間帯によって、内容の変更ができること。Webサイトと情報が連携していることで省力運用ができることも、デジタルサイネージの大きな魅力だと思います。
特に、飲食関連のサインのデジタル化は、訴求内容も強化できて、有効かと思います。
また環境を考える上でも、ポスターを大量に印刷し貼ることや、それを管理することにかかるコストの軽減にもなっていると思います。
羽田
これまでの各PARCOへのデジタルサイネージ導入実績から、渋谷PARCOでは、アナログとデジタルのサインの種類によるそれぞれの最適化ができたのかと考えます。またデザイン面でも、「館内のアナログサイン」、「デジタルサイネージサイン」、そして「Webサイト」の案内サインにおけるデザイン統一ができたことは大きな成果だと感じています。

Q6、渋谷PARCOの経験をふまえ、今後の取組みや、展開などお聞かせください。

加園・羽田

テナント・お客様の期待するパルコらしさを、今回、カタチにできたと感じています。
渋谷PARCO館内を巡回している際に、多くのお客様より【パルコらしい】という声を聞けたことが、嬉しかったです。
羽田
もともと渋谷PARCOでは、「これまでにないサイン」を目指し、お客様の持っているスマートフォンを案内サインのツールにすることなどを検討していました。検討の中で、アプリ化やスマートフォンのOSの違いなどのハードルで今回は断念しましたが、今後さらにデバイスが、進化すれば、近い将来、まったく新しい館内サインが生れるかと思います。
お客様にとって、もっとストレスなく館の情報が伝わるサインを創ることが、将来的に実現していきたいことです。
加園
開発当初の3年前から、デジタルツールが進化してきて、改めて、アナログの良いところも見直されてきたかと思います。デジタルとアナログの特性、バランスを考えて、計画できることが、結果的に、良い環境構築につながると考えています。
渋谷PARCOの開業を通して、サステナビリティ、フィンテック、トレーサビリティなどわからないキーワードから、とにかく多くのことを勉強して、それを考えて実現につなげた。
大事なのは、デザインなど自分の専業だけではなく、なんでも興味をもって取り組むことだと改めて感じました。
パルコも開業50年周年を迎え、効率化が進み、今ある資産から新しい事業を起こすことが必要なフェーズに入ってます。しかしながらそれは、簡単に出来ることではありません。ただ、今回の渋谷PARCOの仕事を通して、同じ業界・業態でも時代の変化とともに進化させていくことも新しい事業になっているではと感じました。
-本日は、渋谷PARCOの取り組みから、商業施設の未来まで、貴重なお話、本当にありがとうございました。
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